ヘリコバクター・ピロリ胃炎について
ヘリコバクター・ピロリとは
ヘリコバクター・ピロリ胃炎、ヘリコバクター・ピロリ菌をご存じでしょうか。
胃の中は強力な胃酸が存在するため、胃の中に入った細菌は死んでしまいます。しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して胃酸を中和することで、胃の中で生きることができます。
ヘリコバクター・ピロリ菌は食事や飲み物から感染すると言われており、昔は井戸水から多くの日本人が感染したと考えられています。また、親から子に感染する場合も多々あったと思われます。水道が整備された近年では新しい感染は減っているため、現在は高齢者で感染率が高く、若年者では感染率は低くなっています。
ヘリコバクター・ピロリ菌は研究の結果、胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌の原因になることが分かっており、ヘリコバクター・ピロリ菌が陽性の場合は治療して菌を消すことが望ましいとされています(除菌)。
ヘリコバクター・ピロリ菌の診断
胃の症状がある場合、検診のバリウム検査で胃炎を指摘された場合などは、胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けてください。胃内視鏡で慢性胃炎がみられた場合は、ヘリコバクター・ピロリ菌の検査を行います。検査の方法は血液抗体検査、尿中抗体検査、便中抗原検査、尿素呼気試験、胃粘膜培養検査、胃粘膜組織検査がありますが、当院では主に血液抗体検査、尿素呼気試験、胃粘膜組織検査を行っております。
ヘリコバクター・ピロリ菌の治療
3種類の薬(胃薬1種類、抗生物質2種類)を1週間内服します。内服後、1~2か月経過したら、尿素呼気試験でピロリ菌が消えたがどうかの確認を行います。
1回目の治療(一次除菌)の成功率は約80~85%です。一次除菌が失敗した場合は、抗生物質の種類を変更して2回目の治療(二次除菌)を行います。二次除菌まで行うと、除菌の成功率は約90~95%です。
ヘリコバクター・ピロリ菌治療後の定期検査
ヘリコバクター・ピロリ菌の治療が成功しても、炎症による胃粘膜の変化(萎縮性胃炎)はそのまま残ります。萎縮した胃粘膜は正常な胃粘膜より胃癌の発生率が高くなっています。つまり、胃癌のリスクは高い方から【ピロリ菌陽性 > ピロリ菌除菌後 > 正常な胃】となります。ピロリ菌を治療した後も、1年に1回、定期的に胃内視鏡検査を受けてください。
まとめ
・ 胃の症状がある場合、バリウムやABC検診でひっかかった場合は、胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けましょう
・ ヘリコバクター・ピロリ菌が陽性であった場合は、胃癌を予防するため、除菌治療を受けましょう
・ ピロリ菌を除菌した後も、定期的に胃内視鏡検査を受けましょう
苦しくない内視鏡検査
当院では、鎮静剤(ねむり薬)を使用し、寝ている間に内視鏡検査を受けていただくことができます。お電話による予約や、インターネット予約で承ります。